※注意※

拙宅ウサビキャラでフリーホラーゲームIbパロ。
ウサビは勿論Ibが正しく好きな方は回避されて下さい。


キャスト
・赤薔薇→狙(9歳)
・青薔薇→運(成人)
・黄薔薇→運(子供)



Ibのエンディング(微妙に)ネタバレ含みます。
でも捏造の方が多いです。

おKな方のみどうぞ。

スクロールにて表示です。















































 強い子だと思っていた。




 肝は据わっているし、態度も言葉づかいも大人顔負けの堂の入り方。頭の回転も悪くなく、何より決断力の強さと速さには感服さえさせられた。

 普通ならパニックを起こして泣き喚いていてもおかしくない状況だというのに、悲鳴を上げる自分の横で平然とすまし顔。涙一つこぼしやしない。(それどころか「喚くな見っとも無い」と蹴ってくる始末。)

 連れ立っている間保護者代わりのつもりでいたけれど、「ひょっとしたらこちらが面倒を見られてる?」とか思ったり。



 勇敢で、聡明で、頼りない自分よりもよほどしっかりした彼。弱音も吐かず、倒れても尚立ち上がり進むいと強き存在。




 だから―――忘れていた。






 毅然と前を見据えるその目は幼く、腰に届くか届かないほどの背丈しかない彼が


 年端もいかないほんの、





 『子供』





 だということを。










Promise of reunion










 「ボリス!ねぇ、何してるの?早く来なよ!」

 喉の奥から発した呼び声が辺りに反響する。が、少し間を空けただけの当の少年は動かない。僅かにこちらを向いた漆黒の瞳はすぐ逸れた。彼の居る側の、『何もない空間』へ向いてただ立ち尽くす。
 まるで悩むように。戸惑うように。揺れ、一点に定まらない彼の視線を見るのは出会ってから初めてのことだった。

 「ほら、ボリス怖くないよ?大丈夫だから!」

 再度、コプチェフは声を張り上げた。いやに早くなる動悸を感じながら、形容しがたい違和感を払うよう叫ぶ。


 彼は、いつだって凛としていた。
 小さな手に握られた彼の魂―――具現化した真紅の薔薇と同じ、真っ直ぐで、鮮烈なまでの気高さと情熱をその目に宿して突き進んできた。
 狂気的でさえあるこの世界で自分が無事でいられるのは、幼い彼が傍に居てくれたおかげ。大げさでもなんでもなく、コプチェフはそう言える。それだけの強さを彼は持っている。


 だから、すっかり失念していた。


 おかしな美術館を彷徨う間、ボリスの心身に膨大な負担がかかっていたということを。


 気丈に見えたところで所詮は十にも達さない子供だ。内心ではどれだけ不安を感じていただろう。どれだけ、無理をし続けていたのだろう。

 疲弊した彼の精神が幻覚を見せていたとしても、なんら不思議ではないというのに―――何故、気づいてやれなかったのか。



 ボリスの唇が微か動く。「母さん……」と、瞳へ虚空を映したまま呟く彼のその状態を普通と呼べるだろうか。
 心壊の一言が頭を掠めた時、コプチェフの違和感ははっきりとした焦燥に変わった。

 「ボリス、ボリスッ!早くこっちへ!!」
 「ボリス、知らない人に付いて行ったらダメよ?何回も教えたわよね?」

 小さな肩が跳ね上がる。コプチェフには何も聞こえなかったが、ボリスの耳にははっきりと届いた。
 柔らかい、情愛と慈しみに満ちた懐かしい声。ずっと会いたいと願っていた、母の声。
 最初かけた鋭い叱責の言葉をも簡単に忘れさせるその声音へボリスが引き寄せられるのは無理ないことだ。

 「っボリス!!」

 フラリ、心の傾きに合わせるように反対側へ踏み出すボリスに思わずコプチェフは身を乗り出した。
 何とかしてこちらに呼び寄せなければ。そう思ったのだが、伸ばそうとした手は少年に届く前で弾かれた。まるでガラスでもあるかのよう、見えない壁が二人を分断している。


 『一度飛び込めば二度と戻ることは出来ない。』


 絵が変わる直前記されていた文、その意味を今更ながら理解し唇を噛む。
 あの時だって、ボリスの手を引いていればこんな事にはならなかったはずだ。一人浮かれて、飛び込んで。情けない自身に失望さえ覚える。口内へ広がる鉄錆の苦さは後悔の味そのものだ。
 それでも諦めきれないのは、生来の優柔不断さ故かもしれない。目の前の壁を叩き、喉が潰れる勢いでコプチェフはボリスの名を繰り返す。


 諦めるわけにはいかない。認めるわけにはいかない。ここで一人、自分だけが元の世界へ戻ってもちっとも意味がないのだ。
 偶然出会い、成り行きで共に居たに過ぎない少年―――それでも、その存在は偉大で。特別で。
 今、この瞬間、自分の命と交換しても構わないと思えるほどに、大切で。愛おしく思うから。



 絶対に―――もう『二度』と、


 一人になんて、しないから。



 何もないようで感触だけはしかとある障壁がもどかしい。形振り構わない余り、片手に負っていた怪我が開いた。巻いたハンカチへジワリ赤が広がる。だが、その程度の痛みで止めるわけにはいかない。
 そうやって激情を拳に乗せる内、徐々にその手が埋まり始めたことにコプチェフは気付いた。
 最初がコンクリート並みだったとすれば、弾力のあるゼリー程度に変化している。同時に、足元には反比例するよう溜まった青い花弁。叩く過程で千切れた分である。
 冷静でない頭でもその二つの関係性は導き出せる。
 なら、とコプチェフの手が動く。
 空いた方の掌で青薔薇を半分ほど包み込む。そして、―――一瞬走った震えを堪えて―――

 一気に、毟る。


 「―――、ッ!!!」

 喀血、するかと思った。予想の遥か上をいく激痛に目の前が真っ赤に染まる。冗談でなく、涙が出る。いい年した大人とか関係ない。痛い。死にそうなほど、痛い。
 ヒラリヒラリ落下する花びらと共に崩れかけた膝を、それでも額縁を掴んでなんとか持ちこたえるとコプチェフは反対の手を突き出した。
 ぐにゃり、と表現しがたい感触を感じる。その直後の自由。

 壁を、突き破ったのだ。



 「ボリスーーーッ!!!!」



 指先を伸ばし、ありったけの酸素を絞って叫ぶ。
 響いた声に、ノロノロおかしな方向へ進んでいたボリスが振り返った。焦点の曖昧だった黒い瞳は冷や汗を浮かべたコプチェフの顔と鮮血の滴る片手、そして青色をほとんど失った薔薇へ結ばれた途端、大きく見開かれた。

 「ボリス……ほら、引っ張ってあげるから……!」
 「、バッ……!」

 多分、馬鹿、とでも言おうとしたのだろう。育ちの割にどうも口が悪いようで、事あるごとにキツイ一言を浴びせてくれたから。何度凹まされたことか数えきれやしない。
 でも、今はそれでも良い。彼がこちらを向いてくれるなら、馬鹿でもなんでもなってやる。

 「何やってるの、ボリス!二度と母さんと父さんに会えなくなっちゃうわよ!
 ずっとひとりぼっちになって、それでも良いのっ!?」

 壁を破ったためか、コプチェフにもボリス側の様子が分かった。
 暗闇から聞こえる男女判然としない声。それが言っていることは脅迫以外の何でもないが、幼いボリスを縛り付けるには十分すぎる。
 恐怖と不安で判断力を狂わせたところを甘い言葉で誘う。灰に還った憐れなあの子の想いなのか、この世界全体の意思なのかは知らないが―――そうやって永久に、彼を闇に閉じ込める気だ。
 二の足踏むボリスに、コプチェフは首を振る。


 (だって、俺が居る。俺たち二人一緒に出ようって約束したんだ。
 覚えてるでしょ、ボリス―――一緒に、マカロンを食べに行くって。だから!!)



 「だから、おいで……」
 「だから、手を出して―――……!」





 この手を―――俺を、





 選んで。







 「「ボリス!!!」」

























 



 「…………俺たち、前にどこかで会ったかな……?」

 質問しながらも、コプチェフの意識は二つに割れ、せめぎ合う。
 会ったはずがない、と冷静に分析する理性と、会ったはずだ、と奥底から叫ぶ心理と。決して相容れない答えは等しい強さで主張する。
 現実的な面からいえば、理性の方が圧倒的に優位である。恐らく一回り以上年が離れていると思われるこの少年との接点はコプチェフの身辺をどれだけ綺麗に漁っても見当たらない。

 ただ、―――既視感、とでも言おうか。覚えがあるような、気がする。

 人の心を模した薔薇の彫刻も、それから感じた例え難い心情も。黒髪の【彼】と向かい合う、この情景も。過日に経験したような、そんな気がする。
 最も、それを事実と証明する手立て皆無だ。ボリス、と何気なく口にした名は偶然にも【彼】の本名と同じだったらしいが、元が適当だっただけに何の証拠にもならない。
 気のせい、のはずだ。見上げてくる気の強そうな漆黒の瞳が印象深くて、そう思っただけかもしれない。

 「……ごめん、変なこと聞いて。今のは気にしないで」

 向けられる視線の強さに耐えられず、コプチェフは自分から目を逸らした。
 そうだ、そろそろ約束の時間が近づいている、と取ってつけたように思い出す。約束しているのは現在交際している女性だが、美術館へ来るついでで会う程度までに冷え込んだ関係からすればさほど重要な予定でもない。単なる口実だった。座りの悪いこの空間から逃げるたいがため出た言い訳。

 「……それじゃあね、」

 意図して【彼】を視界へ入れないよう努める―――だから藍色の目が完全に外れた時、それまで瞬きもせず見つめていた【彼】がどんな顔をしたか、コプチェフには分からなかった。

 「―――ッ待てよ!!!」

 なおざりな言葉をかけて立ち去ろうとしたコプチェフの足が、止まる。
 静寂を打ち破る大声。ビリビリと鼓膜を震わせるそれを無視して進むのは並大抵の神経では無理だ。
 思わず振り返ったコプチェフは眼下の戦慄く少年に目を見張り、次いでギッ!!と凄まじい目つきに睨まれ飛び上がった。

 「……こっちが黙ってりゃ一人ベラベラ呟いて完結しやがって……!いい加減にしろよ、このど阿呆ッ!」
 「へっ……!?」

 反射的に竦めた身へ浴びせられる罵詈雑言。まさに怒髪天を衝く様子の相手に「ここ、美術館だから」と説いたところで通じるとは思えない。むしろ火に油を注ぐ結果になろう。間違いなく。

 「毎回下らねぇオチばっかつけやがって……何回同じこと繰り返せば気が済むんだ!?
 こっちが蹴飛ばしたいの堪えて作品壊さないようにしてんのにうっかり踏むし!奥の人形調べろって言い聞かせても次の時には覚えてねぇし!!
 何度も何度も……何十回って名前教えても、忘れるし……!」
 「あの、君何言って―――」
 「『君』じゃねぇっ!!!」

 吠えるように【彼】は叫んだ。

 「さっき呼んだじゃねぇか、俺の名前!ボリスって、お前ちゃんと呼んだだろ!」
 「そ、それは……」

 確かに、呼んだ。
 けれどそれは偶々思い浮かんだからであって、自分は【彼】を知っているわけではないのだ。


 知っているはずが……―――


 「なんで忘れんだよ……なんでまた、覚えてねぇんだ………………コプチェフ」


 ポツッ、と【彼】が―――ボリスが、呟く。射んばかりに見据えていた黒い双眸が外れ、俯いた。
 先ほどまでの勢いから一転、唇を噛んで黙り込む。
 弱々しく肩を落としたその姿はとても小さく、年相応かそれ以上に頼りなくて、儚くて。
 まるで、迷子を見ているようだ、と思った。

 「これで間違いなら、どこをやり直せばいいんだよっ……!」
 
 絞り出すような声に咄嗟にかけるべき言葉を探し―――結局、コプチェフは沈黙する。
 間違いとは何で、やり直すとはどういう意味なのか。判然としない言葉を明らかにすればきっと事態は打開するのだろうが、しかし明らかに傷ついて見えるこの幼子へ問いかけてはならない。そんな気がした。
 二度目の静寂は最初よりも静かで、重い。
 無視も出来ず、かといって慰める術もなく。一体どうすれば良いんだろう。頭を抱えたいのを堪え、居心地悪さを隠すようポケットへ手を突っ込む。
 と、その指先へ柔かな感触が触れた。

 (……ハンカチ?)

 出てきたのは一枚の白布だった。柔らかな生地は大層触り心地良く、男女両用なのか端へごく控えめにレースが施されている。
 所々浮かんだ黒っぽいシミ―――多分、血液が変色したものだと思われる―――が純白を汚しているが、値の張る品だと一目で分かる。

 しかし、くしゃくしゃに丸めたハンカチならまだしも、そんな分不相応に洒落たものを自分は持っていただろうか?

 「……俺のだ」

 首を傾げた自問に、答えは思いがけないところから返った。
 驚いて顔を向ければ僅か持ち上がった正面の目とぶつかる。一滴の滴も零していない黒い瞳は、やはり、コプチェフには泣く直前に見える。

 「え……?これ、君―――ボリス、の?」

 半信半疑に広げる、すると隅に『ボリス』と刺繍があった。赤い糸で綴られたその名まで偶然の一致、とは流石に考えずらい。
 でも、それなら尚更自分の手元へある理由が分からない。


 しかも、血までついて、


 『ボリス、大丈夫?ガラスで切ったりしてない?』
 『あ、ああ―――ってアホッ!お前の方が怪我してんじゃねぇか!』
 『え?あ、本当だ』



 炎。

 砕けたガラス片。紙と油の燃える臭い。小さな男の子の上げる、悲鳴。
 そうだ―――自分は、怪我をした。降り注ぐガラスから咄嗟に傍らの身体を庇ったところ、手の甲を傷つけたのだ。
 それで、


 『ちょっと切っただけだし。このくらい大丈夫だよ』
 『バカ、化膿したらどうすんだっ!コレで押さえるくらいしとけ』
 『ハンカチ?……でも、汚れちゃうよ?』
 『良いから黙って使え!……余計な借り、作るのは御免なんだよ』
 『……うん。じゃあ、借りるよ』


 (……そっか。このハンカチ、貸してもらってたんだ―――【彼】に、)



 ボリスに。



 「思い出した……」



 思い出した。全部、一つの間違いもなく。
 どうしてこんな大事なことを忘れてたんだろう―――ずっと、一緒だったのに。
 二人でおかしな美術館の中を歩いて、迷って。変な像に追いかけられたり、少年に―――友達を求める、孤独な絵のあの子に会ったりして。
 二人、忘れてはならない約束を交わしたのに。
 
 「ボリス……君は、覚えてる?」
 「…………忘れてるのは、テメェだけだ。このワカメ頭」
 「いや、それ言うなら鳥頭でしょ」

 反射的に否定する。が、そのやり取りも記憶にある通りでひどく懐かしい。憮然とするボリスだってそれをきちんと覚えているのだ。
 否、前の言葉を聞く限り、彼はずっと覚えていたのかもしれない。覚えて、その都度記憶を失った自分を探してくれていた。
 その間辛い思いも沢山させたに違いない。出会い頭に怒るのだって、仕方なかろう。


 それでも、やっと二人一緒に戻ることが出来た。込み上げる歓喜に従うまま、コプチェフは低い背丈を力一杯、抱きしめた。


 「ゲッ!な、何すんだ!!」
 「ハハハッ……良かった、俺たち、無事に戻ってこれたんだね……本当、良かった!」
 「全然良くねぇよ!!離せって!」
 「ボリスのことも覚えてるし……嬉しすぎて逆に夢でも見てるみたいだ……」
 「~~~だったら、これで目ェ覚ませっ!!!」

 ガツンッ!と綺麗に決まった膝蹴りに声もなく蹲る。
 丁度向う脛の辺りに並ぶ身長差が仇となった。あっちの美術館内だったら、薔薇が二三枚は散っていた気がする。
 とはいえ緩んだ囲いから逃げないということは、ボリスの方も言葉ほど嫌がっていないと捉えて良いのだろう。そっぽ向く赤い顔も照れだと分かっている。それくらいには、この子の事を見つめてきた。

 叶うならいつまでもこうしていたい。と思うが、場所柄そうもいかない。静かだった一画にも来館者の気配が寄ってくる。そのさざめきに混じり聞こえた声の一つに、かき抱く頭が動いた。
 コプチェフは聞き覚えのない透き通った音程の主は彼の母親―――勿論、本物のだ―――だろう。一人鑑賞している息子を探しに来たのだと思われる。
 逡巡するボリスから、コプチェフはそっと腕を解いた。

 「……ボリス、ゴメン。もっと色々話したいことあるんだけど、俺も行かなきゃ……」

 抑えがちな声で告げる。途端、眼下の肩が跳ねるのが見えた。サッと強張った表情に、ああ違うんだよと弁解したくなる。これまでの出来事が何事もなかったよう、平気でさよならをするわけではない。むしろ気持ちは逆だ。
 ただ、一つ思うことがあって、そのためにコプチェフは身を引く。


 まずは待ち合わせ相手に会って、中途半端になっている関係を清算して。それから、きちんとした身で向き合いたい。


 それは自分なりのけじめである。清廉な彼と並ぶなら、自分もまた綺麗でなければ。
 常識的には考えにくいその想いが正しく恋と呼ばれるものなのか、はたまた死線を共にした際生まれた親愛の延長か、そこらの差異は分からない。それでも真剣なことだけは確かだ。彼に対する紛れもない愛おし さが、胸の内へ確かにある。
 だからこの場は辛くとも束の間、別れを。そう自分自身に言い聞かせる。
 もっともボリスにはそんな事情、知ったことではないわけで。再び俯いてしまった黒髪へ言えない本音に代わり、手を乗せる。

 「……あのさ。このハンカチ、もう少しだけ借りてても良いかな?
 このまま返すのは流石に失礼だし、ちゃんと綺麗に洗ってから返すよ」

 白い布に染み込んだ血液はクリーニングに出しても元通りになるか定かでない。が、これはいわば口実だ。この一枚にしか、チャンスは残っていない。
 果たして、真下の顔は上げられない。キツイ、厳しい、気が短いの三拍子揃った彼が一言も発しないのは、先刻同様、不安の極みで。
 ひょっとして告白前からアウトかなぁ、とコプチェフが内心青くなっているところを、ドンッ!と衝撃が突く。

 「う、わっ!」

 危うく展示品に倒れ込みそうになる横を、小さな体が駆け抜けた。
 玉砕確定。決定的な反応から突き付けられた四文字に今度こそくず折れる―――直前に、ボリスがくるり、振り返った。


 「…………次、会う時は、」
 「う、うん?」
 「……………………マカロン!絶対、忘れんなよ!」
 「!」


 強い口調で放たれた『約束』。


 捨て台詞のようなそれは必ずしも肯定とは限らないが、今、それ以上の答えは不要だ。
 真っ直ぐ挑むような黒眸を受け止め、コプチェフは「勿論!」と頷く。




 ―――だから、さ。




 「また、会おう―――!」








 ED:再会の約束



 



――――――――――
2012.09.24
Ibパロ運狙Ver最終。
妄想にお付き合い下さりありがとうございました!