作者様:
緋柳 涙様:桜魔ヶ時

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※微裏、DV


 

理由は簡単「君が好き」



















俺の恋人はただ「イライラする」ってだけで殴る。
ただ「気に入らない」ってだけで蹴る。
ただ「ヤりたいから」ってだけでヤる。

一応恋人なんだけど。ストレスとか欲求の捌け口じゃないんだけど。

なんて言葉、コイツにとってはどこ吹く風。

「ぃ、あ…痛ェ…痛い、って…!」

今俺はどっから持って来たんだか(多分懲罰房に設置してたの壊してきたんだ)拘束用のベルトで腕をきつく縛られている。
ついでと言わんばかりにこれまた拘束用の首輪まできつく嵌められているもんだから痛くて息苦しくてたまったもんじゃない。

「ッは、ぁ………く、う゛…」

涙で滲む視界の中でも目立つ桃色に鼻で嗤われた。

「痛がってる割には勃ってんじゃねぇか」

「ッ…るせ…ぇ、よ…!だ、れの…ハ、ぁ…せぃ、だと…!」

「ん?俺」

「ッの、やろ…!」

何でもないような顔で認めやがって。
出来る限りの剣幕で睨め付ける。多分コイツの加虐心を煽るだけの行為だと分かってはいるが、年下にこんな事されるなんてプライドが許さないんだ。

だが意外な事に桃色―――キルネンコは笑顔を消して顔を近付けてきた。

鼻先が触れそうな距離で見つめてくる人形のように整った顔に、一瞬されている事を忘れてつい見惚れてしまう。

普段浮かべている皮肉った笑いさえなければ男でさえ惹き込んでしまう魅力を持っているのに勿体ない。

「………飽きた」

「は、ぁ…?」

唐突に。

心底つまらなそうな顔で告げたコイツはこれまた唐突に唇を重ねてきた。

「ッ………?!ン、ンゥ…ぁ…!」

当然準備も何もあったもんじゃない。
あっさり舌の侵入を許してしまった。
歯列をなぞり、舌を絡めとられ、引き寄せられたそれを甘噛みされ。

「ふッ………ぅ、」

息苦しさで頭の奥が痺れる。生理的な涙が滲む。
このまま窒息死するんじゃないかと思っていたら、唇が離れた。

「ぁ………ハァ…ッ」

距離が出来た事で見えた顔には再び笑みが浮かんでいる。

「………イイ顔だ…」

「ハァ、ハ…ッ嬉しく、ねぇよ…!」

「の、割には顔真っ赤だけどなぁ?」

「る、せぇ…ッ呼吸困難に、なれば当、然だ…!」

どこにスイッチがあったんだが、今度は心底楽しそうに笑うキルネンコ。

分かんねぇ。コイツ本当に訳分かんねぇ。

「…いいな、そういう所が好きだ」


………

まぁ、なんだ。

偶にこうして素直に想いを伝えてくれるから

「イライラする」ってだけで殴られても、

「気に入らない」ってだけで蹴られても、

「ヤりたいから」ってだけでヤられても、

終わりにしようなんて言えない訳で。


惚れたら負けなんて誰が言ったんだか、



正にその通りだよ。




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2012.03.07
『桜魔ヶ時』の緋柳 涙様がひなまつりフリーとして配布していたssの桃看!
このカプは最早DVがデフォルトですよねー、でも大丈夫ちゃんとキル様愛を囁いている!!
実はラブラブな桃看、ご馳走様でした!


↓素敵な緋柳さん宅はこちらから!
桜魔ヶ時